BLOG
8.62018
M&Aの買手と売手とは?
今日は、M&Aの買手と売手などについてお話したいと思います。
1.M&Aとは
その前に、基礎的なところで、 事業承継には、大きくわけて①経営者交代、②M&Aの2つがあります。
M&Aは、Mergers and Aquisitions の略称です。 Mergersは、複数の企業が一つになる「合併」の意味で、 Aquisitionsは、企業など組織の「買収」の意味です。
M&Aというと、小説からドラマ化、映画化された「ハゲタカ」の様な 投資ファンドによる乗っ取りのイメージが強いですが、経営資源を即座に 調達できる、現代の経営においては不可欠な手段です。
M&Aでは、売手と買手がいます。経営者交代がスムーズに行く会社は 良いのですが、事情があって、後継者が見つからない。でも、これまで 苦労して作り上げた会社を、ここで終わらせたくない。そういったときに、 外部に会社を引き継いでもらいたい、という売手が出てきます。
一方、事業領域を拡大させたい、でも、一からやっていては時間もかかり、 社内にリソースがない、そういったときに、外部の企業にそれを求める、 という買手が出てきます。
2.売手と買手
ここであなたに質問です。 買手と売手の割合はどのくらいと思いますか?
2015年の中小企業の経営者の年齢分布をみると、66歳が最も多く、 今後5年間で70歳を超える経営者が30万人以上になると予想されており、 なんとその6割が、後継者が未定と予想されています。
これだけみると、売手の割合が多いと思われますが、調査では おおよそ 買手が80%、売手が20% となっています。 中小企業を対象とするスモールM&Aでは、買手としては、 例えば、
大企業
土木建設会社 → ドローン会社を買いたい
中小企業
新商品開発会社 → リノベーション、ビルメンテ会社を買いたい
投資家 → ストック型ビジネスとして
コインランドリー、ビルメンテ会社を買いたい
また、買手の人気物件としては、パン屋があります。 立地やノウハウが必要なのですが、なかなか売りに出ないようです。
事務所の近くにも、昔から家族でやっている町のパン屋があります。 小さいながら、商品開発に熱心で、クロワッサンだけでも、プレーン、チョコ、 モカ、塩バジル、黒糖と5種類もあります。そして、値段が良心的。
以前は、著名な多店舗展開しているパン屋から買っていましたが、都市計画で 閉店して、今は、町のパン屋で買っていて、色々なパンを楽しんでいます。 そこの店主は、50代とおぼしきなため、まだまだ続きそうです。 おっと、コーヒーブレイクが長くなりましたね。
3.会社の価値とは?
さて、M&Aする時の会社の価値はどうやって出すのでしょうか?
算出方法はいろいろありますが、その内のひとつに年買法があります。
これは、過去数年の平均経常利益をベースとして算出する方法です。 例えば、ある会社が過去平均で1千万円の利益を上げていて、 今後5年間は同様の利益が見込めるといった場合、1千万円×5年という計算に基づいて、 その会社の経営権の価値は5千万円であるというように考える方法です。
M&Aには、3~5年の会社の価値を考えます。 これは、リスクと利益率で色々な商材を元にした考えからです。
商材をリスクの低い方から並べて、その商材の回収期間と利益率は
リスク低い
↑
国債 100年 0.1%
土地 20~30年 3%
マンション 10~20年 10%
新規事業 3年 33%
↓
リスク高い
M&Aの位置づけを、マンションと新規事業の間(2年~8年)と考え、 会社の価値の算出として3~5年としています。
4.社員はどうか?
会社の社員にとってM&Aは、先がみえず不安となります。 M&Aしたいと思う魅力的な会社には、その会社を支えてきた特殊資産となる 社員がいるはずです。アプローチのやり方によっては、社員を離職で失ってしまう リスクがあります。このため、M&Aの実行には 買収される会社の社員に手厚い 配慮をして、有能な社員を社内に留める努力が必要となります。
そういったことが判っているため、一般的に買手の姿勢は好意的です。
5.売れるようにするためには?
1)社長が直接M&Aにかかわらない
→経営に注力して、経営に影響を与えないようにする
2)決算書の社長の私費を明確にする
→実質の利益を明確にして、会社の価値の算出をおこなう
3)売上状況の説明
→会社の価値を正しく算出するために、売上や利益の状況を説明するのは
とても重要です。
6.その他(QA)
Q:赤字でも売れるか?
→売上や利益の状況説明が重要と話しましたが、特に赤字の場合には、
なぜ赤字になっているのか?の理由を説明するのは、当然のことです。
窮境原因を解決するために、経営改善計画を立案して実行すれば良いのです。
Q:債務超過でも売れるか?
→M&Aで資金を調達して、経営改善に繋げることが可能です。
Q:社員や取引先に話すタイミングは?
→契約後にしてください。契約前に話してしまうと、不安が先立ってしまいます。
M&A後のきちんとした計画を立案して、実行力のある計画を説明することで、
社員や取引先に安心感を与え、M&Aがスムーズに進みます。