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6.82017
経営力の把握と分析(1) 安全性とは?
1)経営力の把握と分析
これから5回にわたり、自社の経営力の分析についてお話していきます。
経営力を分析するときに、①安全性、②収益性、③循環性、④成長性、⑤創造性の5つの領域で分析を行います。
①安全性
人間に例えると「骨格」
財務構造上の安全性と、人的な安全性を表します。
②収益性
人間に例えると「筋肉j
投下資本に対する収益力を表します。
③循環性
人間に例えると「血液」
資金循環の善し悪し表します。
④成長性
人間に例えると「活力」
時系列的にみた企業の成長性を表します。
⑤創造性
人間に例えると「頭脳」
企業活力を生み出す組織の創造性を表します。
更に、これらの5つの領域で、それぞれ3つの項目で評価を行います。
従って、15個の項目で評価を行うことになります。
体系的に見ると以下の様になります。
【経営力分析の体系】
5領域 3項目
①安全性 ①-1 自己資本比率
①-2 流動比率
①-3 従業員定着率
②収益性 ②-1 損益分岐点比率
②-2 売上高経常利益率
②-3 総資本経常利益率
③循環性 ③-1 買入債務回転期間 対 売上債権回転期間
③-2 投資回収年月
③-3 総資本回転率
④成長性 ④-1 過去3カ年売上高増加率
④-2 過去3カ年限界利益増加率
④-3 過去3カ年自己資本増加率
⑤創造性 ⑤-1 限界利益労働生産性
⑤-2 一人当たり人件費
⑤-3 限界利益労働分配率
2)①安全性 とは
それでは、初めに①安全性について見ていきましょう。
安全性は、人に例えると「骨格」にあたりました。
これを、資産と負債のバランスの財務資本と、人的資本の2つの面から見ていきます。
財務資本 → ①-1 自己資本比率
①-2 流動比率
人的資本 → ①-3 従業員定着率
3)①-1 自己資本比率 とは
総資本に占める自己資本の割合です。他人資本(流動負債、固定負債)は、返済しなければならないため、返済をしなくても良い自己資本(純資産)が大きいほど安全性が高まります。
一般的には、30%が目安。50%以上あれば優良です。
自己資本
自己資本比率 = ------ × 100(%)
総資本
4)①-2 流動比率 とは
短期的な支払能力です。短期で支払うべき流動負債を、短期的な支払能力となる流動資産で、どの程度まかなっているかを評価します。
一般的には、130%です。
流動資産
流動比率 = ------ × 100(%)
流動負債
流動資産:1年以内に現金化
流動負債:1年以内に支払期限
5)①-3 従業員定着率
従業員の定着率が高いほど、社内に技術やノウハウの蓄積が行われ、社会に対する信頼度も高くなり、それが生産性の向上に繋がります。
目安は90%以上です。定着には従業員の将来性を考えて、スキルアップをサポートすることが大事だと私は思います。
期中離職者数
従業員定着率 = (1 - ------ ) × 100(%)
平均従業員数
(期中離職者数/平均従業員数)は、離職率と呼ばれるものです。
以上が、経営力の分析の①安全性になります。
次回は、経営力の分析で、最も大事な②収益性についてお話します。