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経営力の把握と分析(3) 循環性とは?

経営力の把握と分析(3) 循環性とは?

1)経営力の把握と分析

 前回に引き続き、自社の経営力の分析についてお話します。

 今回は、①安全性、②収益性、③循環性、④成長性、⑤創造性の5つの領域のうち、③循環性についてお話しします。

2)③循環性 とは?

 それでは、5つの領域の中で企業の支払能力を示す③循環性について見ていきましょう。

 循環性は、人に例えると「血液」にあたり、企業の資金の流れの善し悪しを表します。

 これを、債権の循環性、投資の循環性、総資本の循環性の3つの面から見ていきます。

 債権の循環性  → ③-1 買入債務回転期間 対 売上債権回転期間

 投資の循環性  → ③-2 投資回収年月

 総資本の循環性 → ③-3 総資本回転率

3)③-1 買入債務回転期間 対 売上債権回転期間 とは?

 支払と回収の期間を比較して、キャッシュの余裕度とみます。1より小さいと支払よりも回収の方が早いことを表します。資金の余剰ができるため、資金循環が良好であることを表します。

                        売上債権回転期間
 買入債務回転期間 対 売上債権回転期間 = ----------
                        買入債務回転期間

 例えば、商品を仕入れて60日後に支払い(買入債務回転期間)、仕入れ後に販売して90日後に入金(売上債権回転期間)の場合は、

                        90日
 買入債務回転期間 対 売上債権回転期間 = ----- = 1.5
                        60日

 となり、回収よりも支払の方が早いため、資金繰りが厳しい状態となります。

4)③-2 投資回収年月 とは?

 自己金融での投資を、何年で回収出来るかを表します。5年が目安になります。資金の回収スピードで、資産の運用効率をみています。

 ここで、自己金融という聞き慣れない言葉が出て来ました。

 自己金融とは?

 企業努力で生み出した資金で、以下の式で表します。

 自己金融 = 税引後当期利益 + 減価償却費 - 社外流出

 社外流出という聞き慣れない言葉が、また出て来ましたが、例えば、配当金などです。

          (固定資産 + 繰延資産)
 投資回収年月 = -------------
               自己金融

5)③-3 総資本回転率 とは?

 投下された資本が、どの程度活用されているか(売上に貢献)を表しています。回転率が高いほど資本の循環性が良いと言えます。

              売上高
 総資本回収率 = ------------ (回)
           期首・期末平均総資本

6)キャッシュ・フロー計算書(C・F計算書) とは?

 企業の一定期間での「キャッシュ=資金」の「フロー=流れ」を表します。簡単に言えば、資金の収支を表します。

 貸借対照表と損益計算書に記載されている情報を組み替えることで、資金の流れを見ることが出来ます。

 2003年3月期の決算から、株式を公開している会社はキャッシュ・フロー計算書の作成が義務づけられました。

7)資金繰り表 とは?

 資金が大丈夫なのかをチェックする為に、資金繰り表を使って資金の調達する方法もあります。

 将来のある時点で、資金残高がどの位有るのかを把握すると供に、資金残高がマイナスにならないように管理することを目的としています。

8)CFの3区分

 CFは3つの区分に分けて考えることができます。

 ①営業活動によるCF → 「現在」のお金を稼ぐための活動によるCF

 ②投資活動によるCF → 「将来」のお金を稼ぐための活動によるCF

 ③財務活動によるCF → 「お金の調達と返済」のための活動によるCF

 さあ、今回はどうだったでしょうか?

 循環性を示す3つの指標がありました。さらにキャッシュフロー、資金繰り表など、資金の流れ、即ち資金の収支を表すものを話してきました。

 次回は、収益性の次に重要な成長性についてお話します。

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