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経営力の把握と分析(4) 成長性とは?

経営力の把握と分析(4) 成長性とは?

1)経営力の把握と分析

 今回も、自社の経営力の分析についてお話します。

 今回は、①安全性、②収益性、③循環性、④成長性、⑤創造性の5つの領域のうち、②収益性と並んで大事な④成長性についてお話しします。

2)④成長性 とは?

 それでは、5つの領域の中で企業の外部変化への適応能力を示す④成長性について見ていきましょう。

 成長性は、人に例えると「活力」にあたり、時系列的にみた企業の成長性を表します。

 これを、売上高の成長性、限界利益の成長性、自己資本の成長性の3つの面から見ていきます。

 売上高の成長性  → ④-1 過去3カ年の売上高増加率

 限界利益の成長性 → ④-2 過去3カ年の限界利益増加率

 自己資本の成長性 → ④-3 過去3カ年の自己資本増加率

3)過去3カ年の売上高増加率 とは?

 売上高の前年の伸び率との単純平均をみます。企業としては全社の売上高の増加率だけでなく、事業別、商品別、エリア別に分析すると有効です。

 過去3カ年  前期売上高    今期売上高
 売上高  =(------ + ------)÷2×100-100%
 増加率    前々期売上高   前期売上高

4)過去3カ年の限界利益成長率 とは?

 売上高が増えているからと安心してはいけません。材料費や外注費などの変動費が増えていると利益が増えず、企業が成長しているとは言えません。

 売上の規模が大きくなっていても、外部への支出が増えていると体質的には成長しているとは言えません。

 過去3カ年  前期限界利益   今期限界利益
 限界利益 =(------ + ------)÷2×100-100%
 増加率    前々期限界利益  前期限界利益

5)④-3 過去3カ年の自己資本成長率 とは?

 売上高、従業員数、総資本といった規模の拡大だけで、企業の成長を判断してはいけません。

 自己資本が増加しているかで、企業の実質的な成長を判断する必要があります。

 過去3カ年  前記自己資本   今期自己資本
 自己資本 =(------ + ------)÷2×100-100%
 増加率    前々期自己資本  前記自己資本

 ここまで、売上高、限界利益、自己資本の成長性をみてきました。一般的に、経営が成長しているのか、それとも拡大しているのかを判断するのは難しいです。

 そこで、次の不等号式が成り立つときは、企業が成長していると判断し、不等号が反対のときは、企業が拡大していると判断して良いでしょう。

 売上高増加率 < 限界利益増加率 < 自己資本増加率

6)成長性の改善

 売上高、限界利益、自己資本の増加率が思わしくない時は、成長性の改善が必要となってきます。

 その時は、外部環境の変化を掴んで、適切な成長戦略を考えなければなりません。成長性の改善には以下の3つの方法があります。

 ①市場開拓を推し進める
  → 成長分野への進出、流通経路の見直し、既存市場のシェア拡大

 ②資本蓄積を高める
  → 内部留保を進める(安全性の改善)、収益性の改善を図る

 ③収益力の強化を図る
  → 事業の再構築、商品開発の強化、生産・流通システムの改善

 さあ、今回の成長性はどうだったでしょうか?

 企業にとって重要なのは、規模拡大よりも自己資本などの充実を伴う成長性です。

 過去3カ年の数字を基に、企業の成長性を分析して、必要な改善策策を進めてください。

 次回は、企業分析の最後の創造性についてお話します。

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