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経営力の把握と分析(5) 創造性とは?

経営力の把握と分析(5) 創造性とは?

1)経営力の把握と分析

 今回も、自社の経営力の分析についてお話しします。

 今回は、①安全性、②収益性、③循環性、④成長性、⑤創造性の5つの領域のうち、最後の⑤創造性についてお話しします。

2)生産性 とは?

 創造性は、まず生産性に表れます。そこで、初めに生産性についてお話しします。

 生産性は、「投入」と「産出」の関係で評価されます。資本、人や時間などの投入1単位に対する、生産量や販売量の産出量を評価します。

        産出(生産量、販売量、金額など)
 生産性 = -----------------
         投入(資本、人、時間など)

 分子側
  物量 → 物的生産性 / 金額 → 価値生産性

 分母側
  資本 → 資本生産性 / 人数 → 人的生産性

3)付加価値 とは?

 創造性を把握する上で、生産性の次に重要なのが付加価値です。企業活動を通して、新しく生み出された商品・製品やサービスの価値のことです。

 金額の「売上高」には社外で生産した価値(例えば購入部品・材料など)が含まれるので、この外部購入価値を控除します。

 付加価値を計算する方法は2通り有ります。

 ①控除法
  売上高から外部購入価値を控除して求める方法。
  この控除されて求められた付加価値を、「加工高」と呼びます。

   付加価値 = 売上高 - 外部購入価値 = 加工高

 ②加算法
  付加価値を構成する要素を加算する方法。
  企業を取り巻く利害関係者へ分配する価値を加算します。

   付加価値 = 社内留保 + 付加価値の構成要素

  要素:支払利息・賃貸料、人件費、租税公課、配当金など

4)⑤創造性 とは?

 生産性と付加価値をお話しました、それでは、5つの領域の中で企業の外部変化への適応能力を示す④成長性について見ていきましょう。

 成長性は、人に例えると「頭脳」にあたり、企業活力を生み出す組織の創造性を表します

 成長性は、企業の組織構成員が商品・製品を作り出すときの創意工夫、組織を活性化することで生産性を高める力です。新製品開発や新規市場開拓を推し進める力です。

これを、労働生産性、人件費、労働分配率の3つの面から見ていきます。

 労働生産性の創造性 → ⑤-1 限界利益労働生産性

 人件費の創造性   → ⑤-2 一人当たりの人件費

 労働分配率の創造性 → ⑤-3 限界利益労働分配率

5)限界利益労働生産性 とは?

 従業員一人一人が生み出す付加価値の大きさを表します。控除法で求められる付加価値の「加工費」を、限界利益として捉えています。

               限界利益
 限界利益労働生産性 = -------- ÷ 12ヶ月
   (月 間)      平均従業員数

 加工費  = 売上高 - 外部購入価値

 限界利益 = 売上高 - 変動費

6)一人当たりの人件費 とは?

 従業員のモチベーションをアップさせ、生産性を高める指標となります。

 ただし、高ければ良いのではなく、もう一つの指標である労働分配率をバランス良く抑制し、収益を高めることが重要です。

              人件費合計
 一人当たりの人件費 = -------- ÷ 12ヶ月
   (月 間)      平均従業員数

7)限界利益労働分配率 とは?

 分配率が高いと利益留保が減るため、低い方が良い。

 ただし、人件費を抑えると人材確保が難しくなるため、人件費の水準を下げるのではなく、付加価値(限界利益)を大きくして、人件費を高水準に保つことが重要である。

              人件費合計
 限界利益労働分配率 = ------- × 100 %
              限界利益

 限界利益の増加  → 分配率の減少 〇
 人件費合計の減少 → 分配率の減少 ×

 さて、企業の経営分析方法の最後となった創造性はどうだったでしょうか?

 人件費を高水準に保ち、組織構成員のモチベーションをアップして、組織を活性化して、生産性を上げて、付加価値=限界利益を増加させるような経営を心がけてください。

 次回は、このシリーズ最後の経営改善計画の策定についてお話します。

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