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5.172020
起業するのに休眠会社を使っても大丈夫?
今日は、起業するときに休眠会社を使っても大丈夫か?
ということについてお話したいと思います。
1.独立したいので 法人を設立して創業融資を受けたい
最近、こんな相談がありました。
運送業のドライバーをしながら、
副業でドライバー用のクッション販売をやっています。
在庫を抱えないように、注文が入ってきて、ある程度まとまったら
材料を仕入れて、小ロットで製造してくれるところに頼んで作ってもらっています。
最近、注文が増えてきたので、思い切って独立しようと思っています。
クッションは特殊な材料でできていて、競合他社のものと比べると
全然違い、使ってみるとその実感が分かります。
本格的に事業をやろうと想い、材料の仕入の運転資金が必要なので、
創業融資は受けられますか?金融公庫や保証協会の公的融資が受けられますか?
と言った相談でした。
2.休眠会社を使うと 楽して得しそう
その方は、まず、材料の製造メーカーに独立したいので支援して欲しい、と相談したそうです。
そのメーカーは、以前から相談者の営業力ややる気を評価していて、企画書を作ってくださいと
相談に乗ってくれました。相談者は、早速、企画書を作って持って行き、見事、企画が採用されました。
そこで、メーカーから休眠会社があるので、それを使って独立したらどうか?と提案されたそうです。
休眠会社とは、登記はされていても長期間、経営がされていない、眠っている会社のことを言います。
何らかの理由で会社の経営をやめる場合、税金を管轄している行政機関に休眠会社の届出を出すと
休眠会社になります。「休眠届」や「休業届」と呼ばれますが、実際は「異動届出書」を出します。
また、ふつう会社は、定款に決められた一定期間で役員の更新登記が必要ですが、
休眠会社になるとほったらかしになるので、この登記がされなくなってしまいます。
そうして12年間登記されないと自動的に休眠会社になってしまいます。
こんな休眠会社を再開させるには、会社を経営して確定申告を出せば再開させることができます。
行政機関には、休眠と同様に、「異動届出書」を提出するだけで再開できるので楽ですね。
新しく会社を設立するときには、定款を作って認証したり、資本金を振り込んだり、法務局に登記したりと
費用も手間も掛かるので、それに比べたら休眠会社を使うのはとても楽ですね。
さらにお得なのは、許認可を持っている休眠会社の場合、再開することでその許認可を使える様になります。
許認可を取るには、ふつう手間と時間が掛かるので、それが不要となればとても楽で得ですね。
3.休眠会社には落とし穴があった
ところが、休眠会社には前述した様なメリットばかりではありません。思わぬ落とし穴があります。
それは、決算をやっていなかったり、納税をやっていないため、金融機関から融資を受けられない
という落とし穴です。
休眠をしているからといって会社が無くなった訳ではないので、毎年の決算報告をして、確定申告をして
低額ですが納税をする必要があります。
創業融資(正確には第二創業)を受けるためには、ふつう、直近2期分の決算書が必要です。
でも、休眠会社の場合ほったらかしにされているため、決算書は作られていないのがふつうです。
確定申告もされていないので納税もされていません。
また、許認可が必要な事業をやる場合は、休眠が長くなると許認可の有効期間が切れています。
そうなると、また、一から新規に取得しなければならず、大変な手間とコストが掛かります。
古物商などの許可は一度取得すると無期限に使用できますが、そういうのは希で、ふつうは
5年程度で期限が切れてしまいます。
4.休眠会社を使わず 新しい会社を設立することをおすすめ
資本金の準備も不要、法人設立の登記も不要、許認可の取得も不要
という楽して得で早く創業できるため、休眠会社に飛びつくのはもっともなことです。
しかし、金融機関から創業融資を受けることを考えているなら、決算書がなく、納税されていない
リスクがある休眠会社は使わない方が良いです。
新しく会社を設立して、創業融資を申し込むことをおすすめします。特に許認可が不要であれば、
新しい会社を作れば、決算書の提出も不要ですし、納税を証明する必要もありません。