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経営力の把握と分析(2) 収益性とは?

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経営力の把握と分析(2) 収益性とは?

1)経営力の把握と分析

 前回に引き続き、自社の経営力の分析についてお話します。

 今回は、①安全性、②収益性、③循環性、④成長性、⑤創造性の5つの領域のうち、最も大事な②収益性についてお話しします。

2)②収益性 とは

 それでは、5つの領域の中で一番大事な②収益性について見ていきましょう。

 収益性は、人に例えると「筋肉」にあたりました。企業が利益を生み出す力になります。

 これを、資本に対する収益性、売上に対する収益性、損益分岐点解析の3つの面から見ていきます。

 資本に対する収益性 → ②-1 総資本経常利益率

 売上に対する収益性 → ②-2 売上高経常利益率

 損益分岐点分析   → ②-3 損益分岐点比率

3)②-1 総資本経常利益率 とは

 総資本に対する経常利益の割合です。投下された資本に対して、リターンとして経常利益がどの程度あるかをみます。

 この比率が大きいほど、総資本が有効に活用されていることを表します。

               経常利益
 総資本経常利益率 = ---------- × 100(%)
            期首・期末平均総資本

 留意すべきは、利益の多少で判断せずに、1円の財産でどれだけの利益を生み出したか、で判断することです。

 資金を調達する → 投資をする → 利益を生み出す

 この流れが経営効率であり、これを評価するのが総資本経常利益率です。

4)②-2 売上高経常利益率 とは

 売上高に対する経常利益の割合で、収益力を表します。売上高営業利益率も収益力を表しますが、財務活動の損益が影響する点が違います。

 一般的には3%が目安ですが、5%以上になると優良です。

              経常利益
 売上高経常利益率 = -------- × 100(%)
              売上高

5)②-3 損益分岐点比率 とは

 売上高に対する損益分岐点売上高の割合です。

 損益分岐点比率が100%を下回ると、経常利益がプラスになります。80%以下になると優良です。

            損益分岐点売上高
 損益分岐点比率 = ---------- × 100(%)
              売上高

6)損益分岐点売上高とは?

 経常利益が「0」になる売上高です。黒字でもなく、赤字でもない状態を表します。企業の経営力を示す、最も重要な指標です。

 さて、ここで頭の体操をしてみましょう。

 下記のようなP/L(損益計算書)で、売上が10%増加した時に経常利益はいくらになるでしょうか?

 科目     金額(千円)  構成比
 売上高   10,000  100.0

  材料費   1,000
  労務費   2,000
  外注費     500
  製造経費  1,500
 製造原価   5,000   50.0

 売上総利益  5,000   50.0

  一般管理費 3,500
 販管費    3,500   35.0

 営業利益   1,500   15.0

 営業外収益  1.000   10.0
 経常利益     500    5.0

 答えは、1,350千円となりますが、どうやって導かれるのでしょうか?

 それには、売上高の増減で変動する変動費と、変動しない固定費を考えて、経常利益を導き出します。

 変動費とは?
 →売上高が増えると比例的に増えるコスト

 変動費には、
  卸売業:仕入れ、支払運賃、支払荷造費、広告宣伝費材料費など
  製造業:材料費、労務費、外注加工費、工場消耗品費など

 固定費とは?
 →変動費以外のコスト(売上高の増減に無関係にかかるコスト)

 固定費には
  家賃、役員報酬、保険料など

7)限界利益、限界利益率とは?

 ここで、限界利益、限界利益率という指標を使います。

 限界利益 = 売上高 - 変動費

         限界利益
 限界利益率 =------ × 100(%)
         売上高

 限界利益から固定費を控除すると経常利益になる

 経常利益 = 限界利益 - 固定費

 前のP/Lの例で考えると

 変動費   = 材料費 + 外注費 = 1,500

 固定費   =   労務費   + 製造経費
         + 一般管理費 + 営業外収益
       =   2,000 + 1,500
         + 3,500 + 1,000
       = 8,000

 限界利益  =   売上高  -  変動費
       = 10,000 - 1,500
       =  8,500

          8,500
 限界利益率 =-------- × 100(%) = 85%
         10,000

 条件が大きく変わらないとすれば、限界利益率は売上高の規模によらず、一定となります。また、固定費も一定なので、売上高が変化しても経常利益を予測することができます。

 前の問題で、売上が10%増加した時の経常利益はいくらか?
 の回答は、次のようになります。

 限界利益  = 売上高 × 限界利益率
       = 11,000 × 85%
       =  9,350

 経常利益  = 限界利益 - 固定費
       = 9,350 - 8,000
       = 1,350

 限界利益と限界利益率が分かったところで、損益分岐点売上高(損益分岐点)を考えてみます。

 損益分岐点=経常利益が「0」となる売上高

 売上高 × 限界利益率(85%) = 限界利益

 経常利益が「0」となる限界利益は

 損益分岐点 × 85% = 限界利益 (= 固定費)
             = 8,000

          8,000
 損益分岐点 = ------- = 9,412 
           85%

となります。

 即ち
      損益分岐点 = 固定費 ÷ 限界利益率

 となります。

8)製造業で製品在庫があるときの変動費、固定費 とは?

 在庫増減額に含まれる変動費、固定費を算出して、それを反映させます。

                         変動費   固定費
 売上高              10,000

 期首製品残高        200
 製造費用
  材料費  1,000            1,000
  労務費  2,000                  2,000
  外注費    500              500
  製造経費 1,500 5,000            1,500
 期末製品残高        400
 ------------------
 売上原価        4,800

 売上総利益             5,200
 
  販管費              4.500      4.500

 経常利益                700
              
                        1,500 8,000

                          △60  △140

製品在庫を反映した変動費、固定費        1,440 7,860

 在庫増減額 = 期首製品残高 - 期末製品残高
       = 200 - 400
       = △200

 製造費用変動費 = 1,500   製造費割合 = 30%
 製造費用固定費 = 3,500   製造費割合 = 70%
 
 変動費の在庫増減額 = △200 × 30% = △60
 変動費の在庫増減額 = △200 × 70% = △140

9)経営安全率 とは?

 損益分岐点を欠損にならないという、安全の視点で捉えた指標となります。売上高をどのくらいまで落としても欠損にならないか、を知るための指標となります。

 経営安全率 = 100% - 損益分岐点率(%)

 例えば、経営安全率が10%であった場合は、売上高が10%落ちたら経常利益が「0」になってしまうことを示しています。

 さあ、今回はどうでした? 最も重要な収益性のため、限界利益、限界利益率、
損益分岐点など理解しづらい指標が出て来ました。

 さらに、製品在庫を反映した変動費、固定費など少し難しかったと思います。

 次回は、循環性をみていきます。とても重要なキャッシュフロー分析についてお話します。

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